七月七日(九+S)


7月は七夕ということで、九琉、Signal、二つの物語の主人公を出会わせて(?)みました。





-七月七日-




その日、一人の少年と、一人の青年が偶然出会った。

「えっと、助けて頂いてありがとうございました」

少年はにっこり笑って、青年にお礼を言った。

「いや、別に。それより、こんなとこに一人でいると危ないぜ」

青年は少年の頭をぽんぽん、と叩いて注意した。

「あ…、俺ここで人を待ってるんです。ちょっと俺が早く来すぎちゃって。もうすぐ来ると思いますんで大丈夫です」

少年は見ず知らずの自分を心配してくれた青年にほわり、と笑みを浮かべて言った。

対する青年は、それが危ねぇんだよと心の中で思ったが口にはしなかった。

「俺も人待ってんだ。その間心配だから一緒に待っててやるよ」

そんなに俺って危なっかしいかな?

少年は、隣で腕組みをし、時計塔を囲う柵に背を預けている青年をちらりと見た。

「にしても遅ぇな京介の奴…」

青年は腕時計に視線を落として悪態を吐いていた。

京介さんって友達かな?

俺の視線に気付いたのか青年はこちらを向いた。

「どうかしたか?」

「あっ、何でもないです」

俺は慌てて首を横に振った。

「そうか?」

青年は不思議そうに首を傾げたが別に追求して来なかった。







俺は同じように隣で待ち人を待っている少年の横顔を見た。

可愛い顔してんな。学園にいたらヤバかっただろう。ここに来た時、ナンパされてたし。

待ち合わせた奴もよくコイツをこんな人がいる時計塔の下で待たせとけるよな。

「あ!!来た!」

少年の待ち人が来たのか少年は嬉しそうに頬を緩ませ、ソイツに駆け寄って行った。

「工藤!!」

俺はどんな奴かと好奇心でそちらに視線を向けた。



[ 16 ]

[*prev] [next#]
[top]



- ナノ -